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こんにちは、院長の髙橋一久です。河内長野市・富田林市をはじめとする南河内地域の皆さまへ、火曜日は肥満症専門医として、ダイエットや肥満症についてわかりやすく解説していきたいと思います。
今回は、ダイエットのコツ(2)です。
先日、テレビをみていると大変面白い企画をやっていたので今回はそれを話の軸にかかさせていただきます。
その企画とは『巷のウワサ大検証!それって実際どうなの』で取り上げられていた、「1日1kg以上、3日連続で太れるのか?」というものです。番組では、出演者が3日間、とにかく好きなものをたくさん食べながら、体重がどのように変化するのかを検証していました。番組の結果から申しますと、2日目まではクリアーする方はおりましたが、3日目に全員失敗します。
ざっと計算して4000‐6000kcal程度を毎日食べているにも関わらず、3日間連続で1㎏づつは太れませんでした。
これは当たり前の話で、人間の基礎代謝は女性で1100kcal、男性で1500kcalあります。そのうえで、体脂肪は1㎏で約7000kcalです。つまり、だいたい1日合計して8100ー8500kcalとらないと1㎏太れないのです。つまり、1日1㎏も太れない原因は摂取カロリー不足です。
ではなぜ、2日間までは太れる人がいたのでしょうか?そこにダイエットのコツが隠れていると思います。
1kg体重が増えたら、脂肪が1kg増えた?
ダイエット中の患者さんからも、「昨日焼肉を食べたら1kg増えていました」「旅行で2kgも太ってしまいました」
というお話をよく聞きます。でも、ここで再度先ほどの話を確認しておきます。
体重が1kg増えたからといって、体脂肪が1kg増えたとは限りません!
それでは、食べすぎた翌日に増えている体重は何なのでしょうか。
短期間の体重は「水分と便」で大きく変わります
私たちの体重を構成しているのは脂肪と筋肉、骨だけではありません。
身体の中の水分、胃や腸に残っている食べ物、便などもすべて体重に含まれます。また、炭水化物を多く食べると、体内ではグリコーゲンとして蓄えられ、それに伴って水分も保持されます。また、美味しい食事というのは塩分が多いものです。塩分の多い食事をとった翌日は体内の水分量が変化むくみやすくなります。
また、健康な人は、ごはんを食べてから消化されるまで2-3日かかります。大量に食べ始めた時のごはんが便として3日目には大量にでるため、3日目は体重が落ちやすいのです。
ダイエットは「昨日より何kg」ではなく流れを見るのが大事
この話から僕がお伝えしたいのは、毎日の体重に一喜一憂しすぎなくて大丈夫ということです。
昨日より1kg増えたからといって、「ダイエットが全部無駄になった」と落ち込む必要はありません。逆に、たくさん食べた翌日に体重が増えていなかったからといって、「食べても太らない体質になった」と考えるのも早計です。
体重は1日単位では水分などの影響を強く受けます。
ダイエットでは毎日の数字だけを見るのではなく、最低1週間、できたら1か月という少し長い期間で体重がどちらに向かっているのかを見ることが大切です。(ダイエットを目的とした臨床研究でもほとんどが1-2年程度の期間でみていることが多いです。)
食べすぎた日があっても、翌日からまた普段の食事に戻せばいいのです。
一日の増減に振り回されず、長い目で続けること。
これがダイエットではとても大切です。
肥満症専門医として「どうやったら3日連続でクリアできるのか?」考えてみました
最後に蛇足ですが、「では、どうすれば“1日1kg以上、3日連続で体重を増やす”ことができるか?」、とテレビをみていて気になりました。
もちろん、健康のために実践することはおすすめしませんが、内分泌代謝専門医かつ肥満症専門医として少し真面目に考えてみました。
最初に書いた通り、体脂肪を1日で1kg増やすには非常に大きなカロリーが必要です。正攻法でいくならば、ジャイアント白田さん、ギャル曽根さんなど大食いタレントを連れてきて、仮に1日9,000kcal前後を3日間食べ続けることができれば、これまでの出演者よりはかなりクリアに近づくのではないでしょうか。
ただし、ここが面白いところです。9,000kcal食べても、そのすべてを吸収して脂肪になるわけではありません。また人間は食べたものを消化・吸収するためにもエネルギーを使います。過食時にはエネルギー消費量そのものが増えます。1日9000kcal食べても実際に1㎏太れるかはかなり怪しいと思います。
この企画をクリアーするポイントは、脂肪だけで1kgずつ増やそうとしないことだと思います。むしろ体重計の数字だけを1kg増やすのであれば、「脂肪+体内の水分+グリコーゲン+胃腸の中に残っている食べ物」の合計で考えるほうが現実的です。
特に鍵になるのが糖質と水分です。糖質は体内で「グリコーゲン」という形で肝臓や筋肉に蓄えられます。そしてグリコーゲン1gを蓄える際には、少なくとも約3gの水分を伴うとされています。つまり、糖質をたくさん摂った翌日に体重が増えるのは、脂肪が増えただけではなく、水分を一緒に蓄えていることも一因です。
しかし、この方法にも限界があります。グリコーゲンを蓄えられる量には限度がありますし、身体は余分な水分やナトリウムを尿として調節します。そのため、初日、2日目は体重が増えても、3日目になると同じようには増えにくくなる――番組の結果にも、こうした身体の調節機構が関係していた可能性があります。
(あくまで医学的な思考実験で、健康上実際に試してはいけませんが)僕なりに考えると、まず挑戦者には、ジャイアント白田さんやギャル曽根さんのような3日間にわたって大量の食事を摂り続けられる方を選ぶ必要がありそうです。
さらに、筋肉量が多い方のほうが有利です。筋肉には糖質を「グリコーゲン」という形で蓄えることができ、グリコーゲンが蓄えられる際には水分も一緒に保持されます。そのため、筋肉量が多い人ほど、糖質摂取によるグリコーゲンと水分の増加を体重に反映させやすい可能性があります。
そこで、番組のルールを攻略するという視点だけで考えるなら、作戦はこんな感じです。
1週間前程度から食事量、特に塩分を1日5g程度に減らしてきてもらう。
開始の体重測定は起床後すぐに行う。(起床時が人間がもっとも1日で体重が少ない時であるため)
1日目は、低糖質食で自分の代謝分程度2000kcalを目安にとる。水分と塩分をとることで1㎏の体重増加をクリアをめざす。
2日目は、糖質の割合を50%程度で、大量の食事を摂取できる能力を生かし、9,000kcal近くまで摂取を目指す。
勝負の3日目は、糖質の割合をさらを含めて、高糖質の食事を摂る。 脂肪だけで1kg増やそうとするのではなく、炭水化物によるグリコーゲンと水分の貯留、塩分摂取に伴う一時的な水分変動、さらに胃腸の中に残っている食事の重さまで含め、体脂肪ではなく、体重計の数字として1kg増やす」ことを狙う。。
(ボクシングの計量前のように前日に水分を制限して体重を下げておけば、その後の水分摂取で体重を増やしやすくなる、という発想も理屈としては考えられます。しかし、意図的な脱水は体調不良や電解質異常などにつながる可能性があるため、この方法は採用できません。)
それでも3日目に1kg増やせるのか、これは肥満症専門医としても、純粋に結果が気になります。
今回は「1日1kg以上、3日連続で太れるのか?」という話を書かさせていただきました。
この話はダイエットにも重要なことを教えてくれます。昨日より体重が1kg増えたとしても、体脂肪が1kg増えたわけではない。
逆に、1日で1kg減ったとしても、そのすべてが脂肪として減ったわけではありません。
だからこそ、ダイエットでは1日ごとの数字だけで判断せず、1週間、1か月という長い期間で体重の流れを見ることが大切なのです。
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髙橋 一久
資格:日本肥満学会認定 肥満症専門医/日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医/日本専門医機構認定 内分泌代謝・糖尿病内科領域指導医/日本内分泌学会 内分泌代謝専門医、指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本内科学会 内科認定医、指導医
関西医科大学医学部を卒業後、国立国際医療研究センター病院などでの研修を経て、関西医科大学附属病院に勤務。肥満症、糖尿病、甲状腺疾患の診療に携わるとともに、木村 穣先生の指導のもと、減量治療に関する研究に従事した。
2026年に「髙橋内科糖尿病内科 松尾皮膚科」を開院。糖尿病専門医・肥満症専門医として医学的根拠を大切にしながら、患者さん一人ひとりの生活や希望に寄り添い、無理なく続けられる減量治療や生活習慣の改善をともに考える診療を心がけている。



