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こんにちは、院長の髙橋一久です。
糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病でお薬をおすすめすると、患者さんからよく聞かれる質問があります。
「先生、この薬、一度飲み始めたら一生飲まないといけないんですよね?」
「できれば薬を飲みたくない」「一度始めるとやめられなくなるのでは」と心配される気持ちはよく分かります。
結論からお話しすると、生活習慣病の薬は、一度始めたら必ず一生飲み続けなければならないわけではありません。
体重減少や食生活、運動習慣などによって病気の状態が改善し、薬を減らしたり、中止できたりする方もいます。
ただし、ここには大切なポイントがあります。
「数値が良くなった=病気が治った」とは限りません
たとえば血圧の薬を飲み始めて、180mmHgあった血圧が120mmHgになったとします。
「もう正常だから薬をやめてもいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、この120mmHgは薬を飲んでいるから120mmHgになっている可能性があります。薬をやめれば、再び180mmHg近くまで上昇するかもしれません。
糖尿病も同じです。HbA1cが改善したからといって、すぐに薬が不要になったとは限りません。
脂質異常症でも、LDLコレステロールが正常になっているのは、薬の効果による場合があります。
つまり、薬を飲んで数値が良くなったことと、病気そのものが改善して薬が不要になったことは、分けて考える必要があります。
一方で、薬を減らせる方もいます
では、生活習慣病の薬はずっと必要なのでしょうか。
これも患者さんによって異なります。
たとえば、肥満を伴う2型糖尿病や高血圧、脂質異常症では、体重を減らすことで複数の検査値が一緒に改善しやすいことがわかっています。
食生活を見直して体重が減り、運動習慣も身についた。その結果、血糖値も血圧もコレステロールも改善した。
このような場合には、経過を確認しながら薬を減量したり、中止したりできることがあります。
僕が肥満症の診療で「体重を減らすこと」だけを目標にしていない理由もここにあります。
減量によって、糖尿病、高血圧、脂質異常症、脂肪肝などの肥満に関連する健康障害を改善することが、本来の肥満症治療の目的だからです。
病気によっては長く薬を続けたほうがよい場合も
もちろん、生活習慣を改善すれば、誰でも薬をやめられるわけではありません。
糖尿病、高血圧、脂質異常症には、食事や運動だけでなく、年齢、遺伝的な体質、インスリンを分泌する力、血管の状態など、さまざまな要因が関係しています。
また、すでに心筋梗塞や脳梗塞などを経験している方、腎臓病などを合併している方では、単に検査値を正常にするだけでなく、将来の心血管疾患や合併症を予防する目的で薬を継続することが重要な場合があります。
ですから、「薬を飲んでいる=重症」「薬をやめられない=治療がうまくいっていない」と考える必要はありません。
必要な薬を適切に使うことも、将来の健康を守るための大切な治療です。
「薬を減らしたい理由」もぜひ教えてください
また、「薬を減らしたい」と思われている場合には、なぜ薬を減らしたいのか、その理由もぜひお聞かせください。
「毎日飲む薬の数が多くて大変」「薬代の負担を少しでも減らしたい」「できるだけ薬に頼りたくない」など、患者さんによって理由はさまざまだと思います。
たとえば、飲む錠数が多いことが負担になっているのであれば、必ずしも治療そのものをやめる必要はありません。糖尿病では、患者さんの状態によっては内服薬の一部を週1回の注射薬などへ変更することで、毎日の内服錠数を減らせる場合があります。また、複数の成分を1錠にまとめた配合剤を利用できることもあります。
一方、費用面が負担になっているのであれば、同じ有効成分のジェネリック医薬品(後発医薬品)が利用できる薬については、変更することで薬代を抑えられる可能性があります。
そして、現在飲んでいる薬がすべて同じ重要度とは限りません。
患者さんの病気や合併症によっては、将来の心筋梗塞や脳卒中、腎臓病などを防ぐために、できるだけ継続していただきたい薬がある一方で、体調や検査結果を確認しながら、減量や中止を検討できる薬が含まれていることもあります。ですから、「薬を減らしたい=治療をやめる」という二択ではありません。
何が負担になっているのかを教えていただければ、治療効果や安全性を保ちながら、薬の数・飲み方・費用などを見直せることがあります。
「こんなことを先生に言ってもいいのかな」と遠慮する必要はありません。
治療を無理なく続けられる方法を一緒に考えましょう。大切なのは、自己判断で薬をやめないことです。
目標は「薬をゼロにすること」ではありません
生活習慣病の治療で本当に目指したいのは、薬を飲まないことそのものではありません。
糖尿病、高血圧、脂質異常症を適切に管理し、将来の脳卒中、心筋梗塞、腎臓病などを防ぎながら、健康に生活することが一番の目的です。
その結果として薬を減らせるのであれば、それはもちろん喜ばしいことです。一方、薬を続けることで将来のリスクを下げられるのであれば、無理に中止する必要もありません。
髙橋内科糖尿病内科 松尾皮膚科では、河内長野市・富田林市をはじめとする南河内地域の皆さまの糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を診療しています。
「今飲んでいる薬は本当に必要?」「体重を減らしたら薬も減らせる?」といった疑問も、診察の際にぜひご相談ください。
薬を飲む・飲まないをゴールにするのではなく、その方にとって必要な治療を一緒に考えていくことが大切です。
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髙橋 一久
資格:日本肥満学会認定 肥満症専門医/日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医/日本専門医機構認定 内分泌代謝・糖尿病内科領域指導医/日本内分泌学会 内分泌代謝専門医、指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本内科学会 内科認定医、指導医
関西医科大学医学部を卒業後、国立国際医療研究センター病院などでの研修を経て、関西医科大学附属病院に勤務。肥満症、糖尿病、甲状腺疾患の診療に携わるとともに、木村 穣先生の指導のもと、減量治療に関する研究に従事した。
2026年に「髙橋内科糖尿病内科 松尾皮膚科」を開院。糖尿病専門医・肥満症専門医として医学的根拠を大切にしながら、患者さん一人ひとりの生活や希望に寄り添い、無理なく続けられる減量治療や生活習慣の改善をともに考える診療を心がけている。



