
こんにちは、院長の髙橋一久です。河内長野市・富田林市をはじめとする南河内地域の皆さまへ、木曜日は甲状腺学会認定甲状腺専門医として、甲状腺についてわかりやすく解説していきたいと思います。
甲状腺の初回は、「そもそも甲状腺って何?」です。
「甲状腺」って何?どこにあって、何をしている臓器なの?
「甲状腺が腫れているといわれたけど、どこにあるのか分からない」
「甲状腺って何をしているの?」
診察をしていると、このような疑問を持っている方は少なくありません。
僕も医学生になるまで、そもそも甲状腺って臓器自体知らなかったと思います。
ただ、甲状腺は普段あまり意識することのない臓器ですが、実は体の代謝を調節する、とても大切な役割を担っています。
今回はこれから甲状腺の病気についてお話しする前に、まず「甲状腺とは何なのか?」という基本から分かりやすく解説します。
甲状腺は首の前にあります
甲状腺は、首の前側、のどぼとけの少し下にある臓器です。
大きさは正常であればそれほど目立たず、右側と左側に広がった形から、よく「蝶が羽を広げたような形」と表現されます。
健康な方では、普段の生活で甲状腺の存在を意識することはほとんどありません。
しかし、甲状腺が大きく腫れたり、中にしこりができたりすると、健康診断の触診や、ご自身が鏡を見たときに気づくことがあります。
甲状腺の仕事は「甲状腺ホルモン」を作ること
甲状腺の最も大切な仕事は、甲状腺ホルモンを作って血液中に送り出すことです。
(ホルモンとは簡単に言うと、身体のいろんな所に命令する物質です。)
甲状腺ホルモンは、食事から摂取した栄養素をエネルギーとして利用するなど、全身の「新陳代謝」を調節しています。
もう少し分かりやすく表現すると、身体のやる気を調整して、「さあ頑張れ」と命令するホルモンだと思ってください。
そのため甲状腺ホルモンが多すぎると、身体が必要以上に活発、頑張ってしまいます。動悸がする、汗をたくさんかく、手が震える、暑がりになる、食べているのに体重が減る、といった症状が現れることがあります。
反対に甲状腺ホルモンが不足すると、身体の働きがゆっくりになります。元気がなくなり、疲れやすい、寒がりになる、むくむ、便秘になる、体重が増えるといった症状につながることがあります。
甲状腺は脳からの指令で働いています
甲状腺が勝手にホルモンを作っているわけではありません。
脳にある「下垂体」という場所から分泌されるTSH(甲状腺刺激ホルモン)が、甲状腺に「ホルモンを作ってください」と指令を送っています。
甲状腺から分泌されるホルモンにはT4やT3があり、血液検査では主にTSH、FT4、FT3などを測定します。
健康診断や病院の採血結果で「TSH」「FT4」という文字を見たことがある方もいるかもしれません。これらの数値を組み合わせることで、甲状腺が適切に働いているかを判断します。
甲状腺にはどんな病気がある?
代表的な甲状腺の病気には、バセドウ病、橋本病(慢性甲状腺炎)、甲状腺結節などがあります。
バセドウ病では甲状腺ホルモンが過剰になることがあり、橋本病では経過によって甲状腺ホルモンが不足することがあります。
また、甲状腺の中に「結節」と呼ばれるしこりができることもあります。結節があっても甲状腺ホルモンの値が正常な場合もあるため、血液検査だけではなく、必要に応じて甲状腺エコー(超音波検査)で形を確認します。これらについては今後ご紹介します。
「なんとなく調子が悪い」が甲状腺のサインのことも
甲状腺の病気で難しいところは、症状が他の病気や日常的な体調不良と似ていることです。
「最近疲れやすい」「動悸がする」「汗が増えた」「むくみやすい」「理由なく体重が増えたり減ったりする」といった症状だけで、甲状腺の病気だと判断することはできません。一方で、このような症状が続いている場合や、健康診断で甲状腺の腫れを指摘された場合には、甲状腺機能を一度確認してみることも選択肢です。
髙橋内科糖尿病内科 では甲状腺外来をおこなっております。
甲状腺は小さな臓器ですが、全身の調子に関係する大切な臓器です。今後も、バセドウ病や橋本病、甲状腺のしこり、甲状腺エコーなどについて、一つずつ分かりやすく解説していきたいと思います。
/////////////////////////////執筆者情報/////////////////////////////
髙橋 一久
資格:日本肥満学会認定 肥満症専門医/日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医/日本専門医機構認定 内分泌代謝・糖尿病内科領域指導医/日本内分泌学会 内分泌代謝専門医、指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本内科学会 内科認定医、指導医
関西医科大学医学部を卒業後、国立国際医療研究センター病院などでの研修を経て、関西医科大学附属病院に勤務。肥満症、糖尿病、甲状腺疾患の診療に携わるとともに、木村 穣先生の指導のもと、減量治療に関する研究に従事した。
2026年に「髙橋内科糖尿病内科 松尾皮膚科」を開院。糖尿病専門医・肥満症専門医として医学的根拠を大切にしながら、患者さん一人ひとりの生活や希望に寄り添い、無理なく続けられる減量治療や生活習慣の改善をともに考える診療を心がけている。



