LDLコレステロールはどこまで下げる?日本・アメリカ・ヨーロッパのガイドラインから考える|髙橋内科糖尿病内科松尾皮膚科|河内長野市の内科、糖尿病内科、皮膚科、甲状腺内科

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LDLコレステロールはどこまで下げる?日本・アメリカ・ヨーロッパのガイドラインから考える

LDLコレステロールはどこまで下げる?日本・アメリカ・ヨーロッパのガイドラインから考える|髙橋内科糖尿病内科松尾皮膚科|河内長野市の内科、糖尿病内科、皮膚科、甲状腺内科

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こんにちは、河内長野市で内科をしております髙橋一久です。

今日のブログは診察室で質問された内容から書こうとおもいます。

この前、「LDLコレステロールは140を切ればいいですか?そうしたら薬はいらないですか?」と聞かれました。

その時のお答えとしては

「LDLは140を超えた瞬間に急に血管が悪くなるわけでなく、LDLと動脈硬化の関係は連続的です。低ければ低いほど動脈硬化疾患、心筋梗塞とか脳梗塞のリスクは下がります。LDLコレステロールはこの数値以下なら大丈夫という数字はないため、将来、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性によって、患者さん事に目指すLDLの数値が変わります。」

とお答えさせていただきました。

 

LDLコレステロールは「低ければ低いほどいい」の?

LDLコレステロールはいわゆる「悪玉コレステロール」で、血液中に多い状態が長く続くほど、動脈硬化が進みやすくなります。

特に、すでに心筋梗塞や狭心症を起こしたことがある方、糖尿病や慢性腎臓病などがある方では、LDLコレステロールをしっかり下げることが重要になります。

では、実際に世界ではどのくらいを目標にしているのでしょうか。

 

日本ではどこまで下げる?

日本動脈硬化学会のガイドラインでは、心筋梗塞などを起こしたことがない「一次予防」の方は、年齢、血圧、糖尿病、喫煙などから動脈硬化性疾患を起こすリスクを評価して目標を決めます。低リスクなら160mg/dL未満、中リスクなら140mg/dL未満、高リスクなら120mg/dL未満が一つの目安です。

リスク評価は、多岐にわたるので説明を割愛しますが、簡単に説明しますと、糖尿病患者さんは原則として120mg/dL未満、さらに喫煙、末梢動脈疾患や糖尿病の細小血管症などを伴う場合には100mg/dL未満が目標になります。また、すでに冠動脈疾患やアテローム血栓性脳梗塞などを起こしている「二次予防」では100mg/dL未満、その中でも特にリスクが高い場合には70mg/dL未満を目指します。

日本では患者さんごとにリスク評価して、目標値まで下げることが基本となっております。

 

ヨーロッパは日本よりも厳しくなっています

僕が医師になったころは日本よりも緩い基準ではあったのですが、現在のヨーロッパのESC/EASガイドラインでは、LDLコレステロールの目標が日本よりも低く設定されています。

おおまかにいうと、低リスク:116mg/dL未満、中リスク:100mg/dL未満、高リスク:70mg/dL未満+治療前から50%以上低下、超高リスク:55mg/dL未満+治療前から50%以上低下

です。さらに、動脈硬化性心血管疾患を繰り返している一部の非常にリスクが高い患者さんでは、40mg/dL未満という非常に低い値まで検討されます。

2025年にヨーロッパのガイドラインがアップデートされましたが、このLDLコレステロールの目標値は変更されませんでした。

 

アメリカは、「食事指導なんか頑張っても限界がある。スタチンを飲め」というスタンスでしたが

アメリカは以前はスタチンを飲むことを重視しており、LDLコレステロールを○○mg/dLまで下げるという目標値よりも、スタチンによって何%低下させるかを重視していました。

LDLコレステロールが高い人を見つけたら、とにかくスタチン飲ませて、LDLが下がったら放置しておけ、という方針でした。

ところが、今年(2026年)に発表された最新のACC/AHAガイドラインでは、LDLコレステロールの目標値が再び明確に示されるようになりました。

一次予防では、境界~中等度リスクで100mg/dL未満、高リスクでは70mg/dL未満。

そして、すでに動脈硬化性心血管疾患があり、再発リスクが非常に高い方では55mg/dL未満を目指します。

アメリカでも、リスクの高い人については「LDLコレステロールをかなり低いところまで下げる」という考え方になっています。

 

日本・アメリカ・ヨーロッパで数字が違うのはなぜ?

こうして比べると、「日本は160なのに、ヨーロッパでは116?いったいどれが正しいの?」と思うかもしれません。

しかし、これは単純に国によって正解が違うという話ではありません。

実は各々の国のガイドラインで根拠としている論文(エビデンス)はほぼ同じです。

それの解釈の違いで差が出ています。

共通している考えは「患者さんごとに目標値は違うよ!」「心筋梗塞や脳梗塞の危険性が高い人ほど、LDLコレステロールを低く管理したほうが、発症しにくいよ!」です。

40歳で血圧も正常、糖尿病もなく、タバコも吸わない方と、70歳で糖尿病があり、すでに心筋梗塞を経験している方では、同じLDLコレステロール130mg/dLでも意味がまったく違います。

後者では、130mg/dLを「基準値に近いから大丈夫」と考えるのではなく、もっと積極的に下げる必要があります。

 

健診結果の「H」だけを見ないでください

健康診断ではLDLコレステロールが基準値を超えると「H」と表示されます。

しかし、脂質異常症の診療で本当に重要なのは、

「基準値を超えているか」ではなく、「あなたの場合、どこまで下げる必要があるのか」

ということです。

LDLコレステロールの目標値は、年齢、性別、糖尿病、高血圧、喫煙、腎臓病、家族歴、そして心筋梗塞や脳梗塞などの既往によって変わります。

だからこそ、「LDLが130だったから大丈夫」「100を切ったから薬をやめよう」と数字だけで自己判断するのではなく、自分のリスクに応じた目標値を知ることが大切です。

髙橋内科糖尿病内科では、河内長野市・富田林市をはじめとする南河内地域の皆さまの脂質異常症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病を診療しています。

健康診断でLDLコレステロールを指摘された方は、結果をお持ちいただければ、「あなたの場合はどこまで下げるべきなのか」を一緒に考えていきます。

 

/////////////////////////////執筆者情報/////////////////////////////

髙橋 一久

資格:日本肥満学会認定 肥満症専門医/日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医/日本専門医機構認定 内分泌代謝・糖尿病内科領域指導医/日本内分泌学会 内分泌代謝専門医、指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本内科学会 内科認定医、指導医

関西医科大学医学部を卒業後、国立国際医療研究センター病院などでの研修を経て、関西医科大学附属病院に勤務。肥満症、糖尿病、甲状腺疾患の診療に携わるとともに、木村 穣先生の指導のもと、減量治療に関する研究に従事した。

2026年に「髙橋内科糖尿病内科 松尾皮膚科」を開院。糖尿病専門医・肥満症専門医として医学的根拠を大切にしながら、河内長野市の内科クリニックとして、患者さん一人ひとりの生活や希望に寄り添い、無理なく続けられる減量治療や生活習慣の改善をともに考える診療を心がけている。