こんにちは、院長の髙橋一久です。河内長野市・富田林市をはじめとする南河内地域の皆さまへ、火曜日は肥満症専門医として、肥満関連についてわかりやすく解説していきたいと思います。
今日のコラムの内容は、「BMI」をテーマに書かさせていただきます。
健康診断の結果に「BMI 24.8」「BMI 27.2」などと書かれていて、「これは太っているということ?」「何kgまで痩せればいいの?」と思ったことはないでしょうか。
BMIは体格をみるための便利な指標ですが、それだけで健康、不健康を示す数字ではありません。
(例で出すと、メジャーリーガーの大谷翔平は身長193cm・体重95.3kgで、BMIを計算すると約25.6となります。数値だけ見れば「肥満」の判定になりますが、もちろん肥満ではありません。筋肉の方が脂肪と比較して重たいため、アスリートの方は体脂肪が低くてもBMIが高くでます。)
今回はBMIの計算方法と適正体重、そしてBMIが生まれた歴史についてお話しします。
BMIはどうやって計算する?
BMI(Body Mass Index:体格指数)は、次の式で計算します。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
たとえば身長170cm、体重70kgなら、
70÷1.7÷1.7=約24.2
となります。
日本ではBMI18.5未満を「低体重」、18.5以上25未満を「普通体重」、25以上を「肥満」と分類します。日本肥満学会ではBMI35以上を高度肥満としています。
そもそもBMIはなぜ生まれた?
BMIの原型を考えたのは医師ではなく、19世紀のベルギーの統計学者アドルフ・ケトレーです。
ケトレーは人間の体格を統計的に研究するなかで、成人では「体重はおおむね身長の2乗に比例する」ことに気づきました。そこで、体重を身長の2乗で割る「ケトレー指数」を考案しました。つまり、最初から「健康や肥満を診断するため」に作られた数字ではありませんでした。
BMIはその後、世界保健機関(WHO)によって国際的な肥満分類の基準として採用されたことなどで、現在では健康診断や疫学研究で広く使用されています。
また、有名な話では1945年にアメリカの保険会社で統計担当だったルイ・ダブリンが、BMIを用いて顧客を肥満に分類し、保険料の算定に活用したため広まったとの逸話もあります。肥満の人は不健康であり保険料の支払い額が大きい傾向であるが、「肥満」の定義がないためにお金をとれなかったという切実な問題があったことから、BMIを定義としたわけです。
医師ではなく、お金を扱う保険マンが有名にしたのは面白い逸話だと思います。
「適正体重」は何kg?
日本ではBMI22となる体重を「標準体重」の一つの目安として、
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
で計算します。
身長170cmなら、
1.7×1.7×22=約63.6kg
です。BMI22は、日本人のデータで糖尿病、高血圧、脂質異常症などの健康障害が比較的少なかったことから標準体重の基準として使われています。
ただし、「全員がBMI22を目指さなければならない」という意味ではありません。
現在の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、目標とするBMIの範囲は18~49歳で18.5~24.9、50~64歳で20.0~24.9、65歳以上では21.5~24.9と、年齢によって異なります。特に高齢になるほど、痩せすぎを避けることも重要になってきます。
BMIは低いほどいい?―モデル業界でも問題になった「痩せすぎ」
「BMI25を超えないように」と聞くと、つい「それなら18や17のほうがもっと健康なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、そうではありません。
BMI18.5未満は低体重です。日本人を対象とした大規模研究でも、BMIが低い人では死亡リスクが高くなる傾向が報告されており、BMIと健康リスクの関係は単純な右肩上がりではありません。
世界のファッション業界でも「痩せすぎ」は大きな問題になりました。パリを擁するフランスでは2017年から、モデルが仕事をする際の健康状態を医師が評価し、その際にBMIも考慮する制度が導入されています。また、モデルの体型を細く、あるいは太く画像加工した商業写真には「retouched photograph(修整された写真)」と表示する制度も設けられました。
なお、「フランスではBMI18未満のモデルは一律禁止」と説明されることがありますが、実際には固定されたBMIだけで機械的に判断する制度ではありません。
BMIだけで健康は決められません
BMIにも弱点があります。
さきほど例にだした大谷選手のような例外がでてくることです。同じ身長・体重でも、筋肉の多いスポーツ選手と、筋肉が少なく内臓脂肪が多い人では健康状態がまったく違います。BMIだけでは「筋肉なのか脂肪なのか」「脂肪がどこについているのか」までは判断できません。
そのため診療では、BMIだけでなく腹囲、血圧、血糖値、HbA1c、コレステロール、中性脂肪、肝機能などを合わせて評価します。
BMI25以上でも健康障害がなければ、すぐに「病気」というわけではありません。一方、糖尿病や高血圧、脂質異常症、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群などを伴い、医学的に減量が必要な場合には「肥満症」として治療を考えます。
河内長野市・富田林市周辺で、健康診断でBMIや血糖、血圧、コレステロールなどを指摘された方は、一つの数字だけを気にする必要はありません。
髙橋内科糖尿病内科 松尾皮膚科では、糖尿病や肥満症を含め、体重と検査値を一緒に確認しながら、その方にとってどの程度の体重を目標にするのがよいかを考えていきます。
まずはご自身のBMIを一度計算してみてください。そして大切なのは、「できるだけ軽くすること」ではなく、健康を保てる体重を目指すことです。
当院の肥満外来の説明ページ 生活習慣病(肥満外来)|髙橋内科糖尿病科松尾皮膚科|河内長野市の内科、糖尿病内科、皮膚科、甲状腺内科
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髙橋 一久
資格:日本肥満学会認定 肥満症専門医/日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医/日本専門医機構h認定 内分泌代謝・糖尿病内科領域指導医/日本内分泌学会 内分泌代謝専門医、指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本内科学会 内科認定医、指導医
関西医科大学医学部を卒業後、国立国際医療研究センター病院などでの研修を経て、関西医科大学附属病院に勤務。肥満症、糖尿病、甲状腺疾患の診療に携わるとともに、木村 穣先生の指導のもと、減量治療に関する研究に従事した。
2026年に「髙橋内科糖尿病内科 松尾皮膚科」を開院。糖尿病専門医・肥満症専門医として医学的根拠を大切にしながら、患者さん一人ひとりの生活や希望に寄り添い、無理なく続けられる減量治療や生活習慣の改善をともに考える診療を心がけている。



